二十四節気(にじゅうしせっき)は、日本の1年を24等分し、立春からはじまり大寒で締めくくられる、約15日ごとに移ろう細やかな季節です。
東洋医学では、自然の変化に逆らうことなく生きるのが最高の健康法とされています。
二十四節気ごとの季節の変化に合わせて、より健やかに美しく暮らしていきましょう。
今日は二十四節気のうちの一つ、「小寒」(しょうかん)です。
「寒の入り」ともいいます。
「寒」とは、寒さが一段と厳しくなる頃です。
「寒」や「寒の内」は、この日から節分までのおよそ1か月間で、厳しい寒さが続きます。
寒さの厳しい「寒」の間に、武道や音曲などの鍛錬をすることを「寒稽古」といいます。
また、年賀状の返事が遅くなってしまった、事情によって出せなかった時は、この時期に「寒中見舞い」を書いて出したりします。
寒い夜は空気も澄みきっており、星がきれいに見えるのもこの時期の特徴です。
この時季は身体が特に冷えますので、身体を温める食べ物や補腎効果がある黒い食べ物(黒豆、黒胡麻、ひじき、海苔など)を食べましょう。
冬は「腎」の季節ですが、腎は腰が冷えると弱くなってしまいます。
腰のあたりを特に冷やさないように注意しましょう。
冷える人は、ふだんから腹巻を使うのがおすすめです。お腹と腰の両方を温めてくれます。
夜は湯たんぽを使うのもおすすめですよ。
また、へその真後ろにある「命門」というツボや下腹部(へその下の真ん中)にある「関元」というツボを温灸したりするのもおすすめです。
そして、明後日1月7日は、「桃の節句」など「五節句」の中で最初に来る「人日(じんじつ)」の節句です。
古代中国では吉凶を占い、無病息災を祈り、野草を入れた吸い物を食べる習慣がありました。
平安時代初期にこれが米、アワ、キビ、ヒエ、ミノ、ゴマ、アズキの「七穀」を入れた粥として日本に伝わり、鎌倉時代になると穀類から「七草」に代わって今でも邪気を払う縁起物として食されています。
七草というのはセリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロの7種です。
それぞれに効用があり、セリは目の充血やめまいを予防、ナズナは消化機能をととのえます。ゴギョウはせきを止め、たんを切る働き、ハコベラは胃炎や胃弱に効果的、ホトケノザは筋肉の痛みに、スズナは胃腸をととのえ熱を下げます。スズシロも胃腸の働きを助ける働きがあります。
ただ、最近では手に入りにくいものばかり。
そこで、身近な材料を使ったオリジナルの七草粥をご紹介します。
・人参葉(人参でも可)
胃腸の働きを高め、五臓を調和し全身を滋養します。
・カブ
五臓を補い、消化を助け、気持ちを落ち着け、咳や痰を抑え、口の渇きを癒します。
・大根
胃腸の消化を助け、消化不良や胃もたれを改善し、のどの痛み、咳、痰などを改善します。
・春菊
精神を安定させ、胃腸の働きを整えます。
・小松菜
余分な熱をとったり、イライラをとってくれます。
・水菜
体を潤したり、余分な熱をとったり、便通を良くします。
・ネギ
体を温め冷えをとり除き、発汗を促し熱を冷まします。
お節料理や新年会など、飲んだり食べたりすることの多い時期、
疲れた胃腸をいたわり回復させるために、最適なメニューといえます。
これからはじまる新しい1年を元気で暮らせることを願い、邪気(じゃき)を払う意味で、七草粥をいただいて心身の調子を整えましょう。
年末年始のお疲れが出やすい時期ですので、くれぐれも無理はせず、1年のスタートを切りましょう(^^)
(有野台薬品・漢方健康薬剤師 井上満弘)