※足三里(あしさんり)・・・ひざの皿の下にある、外側のくぼみから指4本分下の骨と骨の間。
胃のツボの代表なので、胃をはじめとする消化器系の弱い人におすすめのツボです。
ツボが足にあるので、足の疲れにもよいです。
漢方的には、花粉症など鼻の悪い人は胃腸から立て直していくことが多いです。
なので、実は鼻にも良いツボなんです。
「足三里」は昔から養生のツボとして知られており、
足三里に灸をすることで健康になる、と考えられていました。
万能のツボの一つとして非常に有名で、現代医学的にみてもはっきりとしたツボの働きが確認されているので、名前はご存知だという方も多いかと思います。
「奥の細道」で有名な俳諧師、松尾芭蕉もこの足三里に灸をすえて足の疲れを癒し、1日80㎞の道のりを約150日間乗り切ったことでも有名です。
「足三里に灸をしていない人とは旅するな」といわれていたほどなのです。
昔は旅をするにも今のような交通手段がなく、自分の脚で旅をしていたので様々な知恵の中で生まれたのでしょう。
身体の動きにおいて、「上脊髄性反射」と呼ばれるものがあります。
これは体幹から離れた四肢の皮膚に刺激が加わることで、その刺激が脳を経由して各臓器の働きを調節するものとなります。
足三里は足の外側でひざ下から指4本分下(三寸)の部分にあります。
よって四肢に起こる上脊髄性反射の対応部分となります。
上脊髄性反射によって胃の交感神経は抑制され、副交感神経が活発になります。
副交感神経が働くことによって消化運動と胃液の分泌が亢進します。
食べ過ぎてしまった翌日や食欲不振の時に足三里を刺激することで、胃の動きが良くなり、爽快感が得られます。
東洋医学の考え方では、胃腸障害は「湿」や「熱」が溜まっている状況で、夏の時期に起こりやすい症状です。
そのため6~8月の夏の時期には特におすすめのツボです。
アレルギー疾患、ニキビ、便秘などは胃腸の不調によって起こりやすい症状ですので、
こういった症状の改善にもお勧めのツボです。
なので、夏の時期だけに限らず年中、養生のために行うとよいツボです。
経絡とは病理産物が伝わる通路となります。
口元(地倉)が荒れると胃が荒れている、と昔からよく言いますが、
実は足三里も地倉(口元)も胃経のツボなのです。
このことに気付いた昔の人達の知恵にはほんと驚かされますね。
(有野台薬品・漢方健康薬剤師 井上満弘)
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