冬は「腎」が主役となってはたらく季節です。
なので、冬は腎が弱りやすい季節でもあります。
漢方では、腎は他の4つの臓(肝・心・脾・肺)と違い、最も生命の根源にかかわる臓で、生命力が宿るところと考えられています。
さらに男女の生殖器や脳・骨髄も腎の一部とされています。
つまり、腎は、先天的な体の強弱や発育の順調さをはじめとして、
生殖能力の健全さ、老化現象(特に髪・耳・歯・骨・脳・足腰)の早さ遅さなどに関わります。
また、中医学で「命門の火」という言葉があるのですが、
これは人体を温める根本の「火」も腎にあるという考えに由来します。
もちろん体に不要な水分を、尿から出す働きもあります。
これらの働きから漢方では「腎は体のコントローラー」とされ、古来「肝腎要(かんじんかなめ)」と言われているのです。
生命の根源的な臓であるがゆえに、腎が強いと健康で、元気で、若々しく、長生きができるのですが、
逆にどんな症状・病気でも慢性化したら、腎を弱らせてしまいます。
例えば、鼻炎や便秘でも何年も続けば腎が弱ります。
特に大病や大きな手術は、腎を一気に弱めてしまいます。
また、腎臓がある位置は、ちょうど腰のあたりなので、腎の強さは足腰の強さと同じと考えてよいでしょう。
年齢を経れば、どんな人でも足腰、つまり腎が弱ってきます。
しかし、若い頃より足腰を鍛え、お年を召しても足腰の強い方は腎が強いと言えます。
もちろん食生活もよくなければ、腎は弱ってきます。
西洋医学では血液検査などで健康の「良い悪い」を診ますが、漢方では自覚症状から「強い弱い」を診るのが特徴です。
検査で悪い所はどこにもないのに症状が出る時は、どこかが弱っているのかもしれません。
生まれつき、何かと症状がある方は、症状に効く薬よりも、腎を強くすることを考えて下さい。
腎を強くする漢方薬や天然薬もありますよ(^^)
(有野台薬品・漢方健康薬剤師 井上満弘)