私たちの体の60%は、水分でできています。
60%というのは大人の場合で、生まれたばかりの赤ちゃんでは80%なので、
ほとんど水のかたまりという感じです。
それだけ水は重要なものです。
ただ、だからといって水が多すぎても問題で、あまりに多い水は内臓の働きを弱めてしまい、
病気の原因になります。
漢方ではこれを「水毒」と言います。
水毒とは体の中が水びたしになった状態です。
漢方では、胃腸の働きを畑の土に例えて考えます。
ちょうど土の中の微生物が、枯葉などを分解して土に戻す働きが、食べた飲食物を消化して、体に必要な栄養素に変える働きに似ていると考えたのでしょう。
では、この畑に、必要以上の水を注いだらどうなるでしょう?
土はグチャグチャにぬかるんでしまい、作物を育てることができなくなってしまいますよね。
同じように、胃腸もあまりに水が多すぎると、消化・吸収ができなくなるのです。
このとき行き場がなくなった水が原因で、
頭痛、めまい、むくみ、重だるい、下痢、冷え、うつ症状・・・
などの多くの症状が起きるために、水が多すぎで体の毒になっている状態を、「水毒」と呼ぶのです。
そんな水毒で体の中が水びたしになっている方に多い特徴が
「歯痕(しこん)」
です。
歯痕というのは、舌のふちに歯の跡がついてデコボコになっている状態のことです。
ご自分の舌を見てみて、このような舌になっている人は、
体の中が水びたしになっているということなのです。
水気が多くて膨らんだ舌が歯に当たるため、舌に歯形がついてしまうのです。
原因は水分のとり過ぎで胃腸に水気が多いのに、うまく体から出せないためです。
食べ過ぎや飲み過ぎの翌日に出ることも多いです。
むくみや冷えの原因にもなりますから、心当たりの人は要注意です。
また、花粉症やぜん息、アトピー性皮膚炎などアレルギー性疾患の方にも多い舌で、
養生としては、食事を減らして胃腸を休ませ、余分な水分を体の外へ出すことが大事です。
普段、大きなマグカップで飲み物を飲んでいる人は、カップを小さくしたり、外食の時に「氷を入れないでください」とオーダーする習慣をつけると良いでしょう。
水分は一気飲みをせず、少しずつゆっくりと口の中でころがすように唾液と混ぜながら飲みましょう。
食事中に水やお茶を飲むのはやめましょう(胃酸が薄まり消化が悪くなってしまいますし、食べ物を噛まずに流し込んでしまうからです)。
甘いものや果物を控えましょう。
冷たい物を控えて、できるだけ温かいものを飲みましょう。
水毒の人に効く薬膳としておすすめなのは、小豆汁です。
<小豆汁>
・材料(2~3人分)
小豆:大さじ4、水900cc
・作り方
①豆はさっと洗ってから水といっしょに鍋に入れて火にかけ、
約30分、水が半量になるまで煮る。
②豆を除いて出来上がり。
・効果
小豆汁には強い利尿作用があります。
むくみを取り、ダイエットにも効果的です。
体の中の余分な水分を排出してくれます。
(有野台薬品 井上満弘)
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