先日発売された週刊東洋経済「クスリの大罪」にも書かれていたことなのですが、
フランス保健省は昨年、
アルツハイマー型認知症で承認・販売されている4つの抗認知症薬すべてを
公的医療保険の対象外とすることを決めました。
抗認知症薬にはアルツハイマー型認知症を治す効果はないものの、
患者によっては症状の進行を一時的に遅らせる効果があるとされています。
それでも「効果があまりない割に副作用が無視できない」
とフランス当局は判断したというわけなのです。
日本では、これらの抗認知症薬は数多くの患者に漫然と処方され続けられています。
抗認知症薬は効かない患者が一定の率で存在するうえ、怒りやすくなるなどの副作用もあります。
処方で問題視されているのは、過剰投与が決して少なくないことです。
患者に「興奮や易怒性(度を超した異常な興奮性)」が出ているのに、
これを増量投与の副作用と見ずに、薬の投与を続け、さらに悪化させてしまうのです。
日本人は、海外に比べれば本当にたくさんの薬を処方されています。
ムダな薬や危険な薬も漫然と飲まされていることが結構あるのです。
薬漬けにされ、余計に健康を害し、国民の医療費も膨れ上がる一方です。
(有野台薬品 井上満弘)