2016年に、断食と健康のつながりに密接に関わる細胞のメカニズムについての研究が、
ノーベル医学・生理学賞を受賞しました。
細胞の「オートファジー」の仕組みを明らかにする、大隅良典教授(東京工業大学特任教授)の研究です。
「オートファジー」という言葉は、
「自分(auto)」と、「食べる(Phagy)」という単語を組み合わせた言葉です。
簡単に説明すると、
細胞が古くなっていらなくなった一部を自ら分解してリサイクルして、
新しい状態に生まれ変わらせる、
という、生命の営みに欠かせない機能のことです。
私たちの細胞は日々、体を保つのに必要な2万種類以上のタンパク質を作り出しています。
通常、1日に必要なタンパク質、約200gのうち、約70gは食べ物からとったタンパク質をアミノ酸に分解して材料にしていますが、
残りの約130gは細胞内のタンパク質を用いて、つまり「オートファジー=自分を食べて」によって、生み出しているのです。
通常、細胞内には作るのに失敗したタンパク質や、古くなったミトコンドリアなど、不要なゴミがたまっていきます。
ゴミがたまると、細胞はスムーズに働けなくなってしまいますので、片づけたり、ゴミになる前に取り換えたりする必要があるわけですが、細胞はこれも自主的に計画して行っているのです。
中でも、新陳代謝が活発で分裂することで細胞全体が入れ替わりやすい皮膚や粘膜の細胞などとは違って、
寿命の長い神経細胞や、心臓の心筋細胞、肝臓などの細胞にとって、オートファジーによる浄化作用はとても大切です。
細胞内にゴミがたまり続けると、神経の変性を起こしたり、腫瘍ができやすくなったりするからです。
実は、このオートファジーのスイッチを入れるのが、「空腹による飢餓状態」です。
前述のとおり、タンパク質を作り出して、命を保つことがオートファジーの基本的な役割ですので、
断食をして空腹を感じると、細胞は「タンパク質が必要な状態だ」と判断して、オートファジーを働かせます。
1~2日間程度の飢餓状態が、オートファジーを活性化する最も有効な方法だといわれています。
私は、現在、3日間の酵素断食の2日目です。
私の体の中ではオートファジーがぐんぐん行われているのではないかと思います(^^)
(有野台薬品 井上満弘)