花粉症にもよく使う漢方薬として、
「麻黄附子細辛湯」(まおうぶしさいしんとう)
という処方があります。
例えば、
もともと冷え性で寒がりで、
透明な鼻水がタラタラ垂れる、ズルズル出てくる、
そんな方に使ったりします。
麻黄附子細辛湯は、
麻黄と細辛と附子の3つの生薬から構成されている
とてもシンプルな処方です。
お客さんというより、同業の方からよく質問されるのが
「麻黄附子細辛湯は麻黄が入っているのに、
高齢者や虚弱な人に使っていいの?」
という質問です。
確かに、麻黄というのは、
発汗作用も強く、体力を消耗してしまうので、
すでに汗をかいている人、
体力が虚弱な人
などの人には注意しなければいけない生薬なのですが、
この麻黄附子細辛湯は、麻黄が入っているにもかかわらず、
高齢の方や虚弱な方によく使います。
それは、麻黄が入っているけど附子が入っているからです。
附子は温めて補う作用がとても強いので、
麻黄と細辛の発汗作用による消耗を附子が補ってくれるのです。
このようにして、漢方薬というのは、
ある生薬の弱点があれば、他の生薬が補ってくれたり、
いろいろな生薬でカバーし合っているので
副作用が少ないのです。
でも、その漢方薬のタイプと違ったタイプの人が飲んだ場合は
副作用が出ることがあります。
なので、
西洋薬に比べれれば全然副作用は少ないですが、
誰でも彼でも漢方なら安全というわけではありません。
麻黄湯、葛根湯、小青竜湯などのおなじみの漢方薬にも
麻黄は入っているのですが、
これらには附子のように補ってくれる生薬はあまり入っていないので、
すでに汗をかいている人や虚弱な人には注意が必要です。
いずれにせよ、漢方の専門家の指示のもと、服用するのがおすすめです(^^)
(有野台薬品 井上満弘)