スギ花粉症の根本療法として注目されている舌下免疫療法。
この治療法は、微量のスギ花粉エキスを長期(3~5年)にわたって体内に吸収させ、アレルギー症状を改善・寛解するというアレルゲン免疫療法です。
つまり、3~5年もの間、スギ花粉エキスを毎日舌下投与して、スギ花粉に対して慣れさせるという方法なのです。
現時点では、舌下液の「シダトレン」と舌下錠の「シダキュア」という薬が病院で処方されています。
シダトレンが2014年10月に発売されて今年で5年目になります。
最初に発売された頃から使っている人は5年ほどになりますので、
もう効果が出ていることになります。
実際どれほどの効果が出ているのでしょうか?
舌下免疫療法に取り組んできたあるクリニックの報告によると、
治療を受けて4年目の患者の4割は、鼻や目の症状がほぼない「寛解」の状態に至っていて、
3~4年目の患者の1割強は、併用薬も使わずに全く症状がないまま、2018年のスギ花粉飛散シーズンを乗り切った
とのことです。
寛解率は、
1年目が20.9%、2年目が18.8%、3年目が31.9%、4年目が41.0%
というデータが出ているようです。
ですので、効果はだいぶ出ているようです。
確かに効果が出てQOL(生活の質)が改善されるのは、
花粉症の方にとってとても有難いことだと思います。
でも、これは根治とはいえないのではないかと私は思います。
スギ花粉を3~5年毎日投与して、スギ花粉に対して体が過剰に反応しないように慣れさせているだけであって、
アレルギーの体質自体は改善していないわけですよね。
スギ花粉に対しては反応しなくなるけど、今度は他のものに反応するようになるのではないでしょうか?
そんなふうに思います。
結局、おおもとの所(胃腸であったり粘膜であったり)は改善されてないのですから。
スギ花粉には対処できたけど、他のさらなる病気を招いていってしまうのではないかと思うのです。
(有野台薬品 井上満弘)