2020年の干支は十二支でいうところの「子年」(ねどし)、ねずみ年になりますが、
正確に干支で表すと「庚子」(かのえ・ね)になります。
本来、干支は10種類の「十干」(じっかん)と、12種類の「十二支」(じゅうにし)を組み合わせで60種類が存在し、
60年で一巡します。
2020年は十干が「庚」(かのえ)、十二支が「子」(ね)であり、
2つ合わせて干支は「庚子」(かのえ・ね)となるのです。
十干:
甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)
十二支:
子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥
十干と十二支の組み合わせは一見10×12=120通りになりそうですが、
十干と十二支はそれぞれ奇数番目どうし、偶数番目どうしにしかならないので、60通りになります。
例えば、十干の1番目の「甲」は十二支の偶数番目である「「丑」(2番目)や「卯」(4番目)や「巳」(6番目)などとは組になりません。
では、次に、十二支の「子」や十干の「庚」の意味について見てみましょう。
十二支はあらゆる概念の指標になっていますが、「子」についてまとめると以下の通りになります。
「子」
・時刻: 23時~1時頃
・方角: 北
・月: 旧暦11月
・五行: 水
・陰陽: 陽
・シンボル: ねずみ
日本で十二支といえば、ねずみ・うし・とらなどの動物を連想する人が多いと思いますが、
もともとは十二支に動物の意味はありません。
最初は、十干と十二支を合わせて日付を記録するのに使われてきました。
そして、季節が月の満ち欠けを12回繰り返したら循環することから月に割り当てられたり、時刻、方位などを指すのに使われるようになったのです。
このように十二支はあらゆる概念の指標になっており、生活においても重要なものでした。
そのため、民衆でもこれを覚えて使えるようになってもらうために、馴染み深い動物が割り当てられたと言われています。
では、「子」は動物でなかったら、どういう意味があるのかというと、
「子」は種子が土中で発芽した瞬間を意味します。
「子」は十二支の一番目に当たりますが、
その後、「丑・寅・卯・辰・巳」と徐々に芽が育ち、「午」で陰陽の転換点を迎え、「未・申・酉・戌」と結実します。
そして、最後の「亥」で地面に落ちた種が土中に埋まり、次世代の生命へと繋がっていきます。
「子」は生命のスタートであり、繁殖や発展を意味するわけなのです。
ねずみは多産なので、繁殖や発芽の意味を持つ「子」に割り当てられたのでした。
そして、十干の「庚」(かのえ)についてまとめてみると、
「庚」
・方角: 西
・五行: 金
・陰陽: 陽
になり、
「庚」という字は、植物の成長が止まって新たな形に変化しようとする状態を指します。
十干もいろいろな概念に使われることが多いのですが、特に陰陽五行説が重要です。
陰陽思想とは、すべての物事を「陰」「陽」の2つに分類する思想で、
五行思想とは、万物が「木」「火」「土」「金」「水」の5種類の元素からなるという思想です。
十干はそれぞれ、
「甲」(きのえ)=「木」の「陽」
「乙」(きのと)=「木」の「陰」
「丙」(ひのえ)=「火」の「陽」
「丁」(ひのと)=「火」の「陰」
というふうに五行思想+陰陽思想で構成されています。
それぞれ陰陽思想(2種)と五行思想(5種)の組み合わせの2×5の十干です。
「庚」(かのえ)は、「金」の「陽」になります。
それでは、今年の干支である「庚子」(かのえ・ね)の意味はどうなるのかというと、
陰陽五行説で2つを見た場合、
「庚」は「金」の「陽」
「子」は「水」の「陽」
で”相生”という関係になります。
相生というのは、相手を生かす関係、相手を強める関係になります。
「金生水」といい、金から水が生じる関係です。
とてもいい関係です。
「庚」は成長が止まって新たに変化していくこと、今までのことを改めていくこと、
「子」はこれから増えていって繁栄していくこと
ですから、
今年は今までのことを改めて、これから新たにまた進み始めるという年なのです。
是非とも今年は、これまでを振り返ってみて、改めることは改めて新たに進み始めてください。
また、もしも何か行き詰まりや停滞を感じていたとしても、新しいものに変化し動き出す年になるかもしれません。
今年を境にいい方向に向かっていくことでしょう。
漢方的な話をすると、
金=肺、
水=腎
を意味しているので、
今年は肺と腎に注意を払ったほうがいい年になります。
肺は、呼吸をする場所。
鼻、のど、気管、皮膚など、いわゆる呼吸器系です。
ここが弱ると、空気を充分にとり入れることができなくなりますし、
外からの異物(ウイルス、細菌、花粉、ほこり、寒冷など)が侵入しやすくなります。
腎は、生命力、若さ、生殖、ホルモンバランスなどを担当する場所です。
ここが弱ると、生命力が落ち、老化が進み、生殖器系や婦人科系の不調が出やすくなります。
「金生水」の関係なので、
肺(金)が弱れば、腎(水)も弱ってくるし、
肺(金)が良くなれば、腎(水)も良くなってきます。
今年は、特に、肺と腎のケアを心がけましょう。
まずは、呼吸が大事です。
深い呼吸を意識して行いましょう。
それから、
腎は、腰回りや下半身を温めることが大事です。
下半身の冷えは、腎の力を低下させてしまいます。
食事では、
肺によい影響を与える、辛味や白い野菜を食べるようにしましょう。
にんにく、しょうが、ねぎ、にら、大根など。
腎によい、海藻類や貝類、黒いもの(ひじき、海苔、黒豆、黒ごまなど)、根菜類なども
しっかり食べましょう。
漢方もお役に立ちますので、
鼻、気管、皮膚など肺系の不調がある方、
婦人科系、不妊、泌尿器系など腎の不調のある方、
是非ご相談にお越しください。
素晴らしい一年になりますように(^^)
(有野台薬品・漢方健康薬剤師 井上満弘)